暦は、白露、とのことですが、相変わらず、真昼の日差しは夏そのもの、容赦ありません。これほど実感を伴わないのも、いかに四季のリズムが壊れてきていることか、と思っていたら、朝早い畑は、葉っぱに朝露をしっとりとため、まさに白露。なるほど。昔の人は、こんな小さな兆しを、しっかり受け取って言葉にしてきたのですね。
とはいえ、うちの畑は、今、まだまだ真夏の様相です。恐怖の『かぼちゃ天国』が出現しているのです。
3月に、『南部一郎』という、人の名前そのまんまつけたんじゃね?という名前のかぼちゃの苗(固定種)をいただき、畑の端に植えました。かぼちゃは広がるから、と端に植えたのです。夏にかけてすくすく(この頃はまだ幼子を見守るような気持ちでしたのでこの言葉がぴったりなのですが)育ち、実をつけた時には大喜びで収穫しました。
しかし、8月も末になると、一郎は、水平方向だけでなく、縦に上に、あちらこちらにつるを伸ばし続け、周りのオクラも、ナスもすいかも、ショウガも、すべてを吞み込み、今や畑の5メートル四方を占領するようになりました。毎日のようにランプのような大きな黄色い花を咲かせ続け、つるが、あちこちで宙を舞って新たな巻きつく先を探しているさまは、恐怖を感じるほどです。
この恐ろしいほどの生命力に、何故だか、気持ちが引いてしまい…しばらく畑に入らない日が続きました。それは、何故だろうと考えた時、私は、自分が無意識のうちに畑を自分の完全なるコントロール下に置こうとしていたことを思い知りました。自分の想定内で、自分の思い描く通りに美しく育ち、着実に実をつけるという姿を望んでいたのだなぁと。それは、畑をやるからには、しごく当然のことであると同時に、人間の傲慢さでもあるわけで。
そして、南部一郎は、そんな私を超えたところで、今日も増殖し続けております。